陽のあたる場所で
プロローグ
むかしむかし。 『神』と呼ばれる存在がありました。
神には三人の娘がいました。
一人は開花を。
一人は喜びを。
一人は輝きを。
神は娘達をとても大切にしていました。娘達も神を愛していました。
月日は流れ、神は眠りにつくことになりました。彼も万能ではなかったのです。
ですから、神は娘達に自分の世界を託しました。
一人は空を。
一人は海を。
一人は大地を。
神は言いました。
『あなた達は私がうみだした存在。命を大切にしなさい。そうすれば、私はいつもあなた達と共にあることができる』
神は深い深い眠りにつき、娘は嘆き悲しみました。
ですが、いつまでも悲しむわけにはいきません。
娘は『天使』と呼ばれるものをつくりました。娘と天使は長い年月をかけ、それぞれの世界を、人間を守り慈しみました。
ですが、そんな緩やかな時間も終わりをつげます。神同様、彼女達も万能ではなかったのです。
娘は天使に言いました。
『私の時間も終わりをつげます。これからはあなたがこの世界を守ってください』
天使は言いました。
『一人は辛すぎます。どうか最期まであなたを守らせてください』
『ならば、二人で世界を見守っていきましょう。空と、海と、大地を』
こうして娘達は、天使達は人々の前から姿を消しました。
彼らはこの世界のどこかにいると言われています。彼女達は、彼らは私達のことを見守っているのです。
「……あたしが神の娘? 冗談もいい加減にしろ」
それが、あたしがあいつらに言った第一声だった。
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