拍手その13
その1
リザ 「こんにちは、リザお兄ちゃんだよ。親しみをこめて、『リザ兄ちゃん』って呼んでくれると嬉しいな♪」
昇 「呼ばないから」
アルベルト「呼びませんね」
リザ 「……弟達がつれない(しくしく)」
昇 「泣いてるぞ。なんとかしてやれば、弟」
アルベルト「なんで私があんな若作りじいさんの話相手をしなければいけないんです」
昇 「若作りじーさんって(汗)」
リザ 「そんなこと言っちゃっていいのかなー。子ども時代のあんなことこんなこと公表しちゃうぞ」
アルベルト「…………」
昇 「子ども時代って?」
リザ 「訊いて驚くことなかれ。実はアルは――」
アルベルト「どうしました? 実は私はどうだったんです(にっこり)?」
リザ 「ナンデモゴザイマセン(首元にナイフ突きつけられて)」
アルベルト「あなたも、何か聞きたいことがあったんですか(笑顔で。瞳は笑ってない)?」
昇 「なにもありません」
アルベルト「リザ兄ちゃんは話がすぎて困りますね。さすが年寄りといったところでしょうか(棒読み)」
二人 『……怖い』
その2
昇 「リザ(神様)ってさ、ふだんは何やってるんだ?」
リザ 「そりゃー、いろんなところ旅してまわってるよ」
ショウ 「旅と神様と何の関連性があるんだ?」
リザ 「植えたものが枯れてないかチェックしたり、生物の健康状態を観察したり」
昇 「動物の飼育係みたいだな」
リザ 「あとは宝箱に思いついた代物を適当に置いてまわったり」
ショウ 「だからよろづ屋やってたのか」
リザ 「あとはほら、行きずりの人とお近づきになったり?」
二人 『…………』
リザ 「でもあそこにいたら、ずっと声もかけられなかったんだよな。いやー、辞めてよかったよかった」
アルベルト「素晴らしいくらいにろくでなしですね」
昇 「こいつが元・神様で安心した」
ショウ 「同感」
その3
昇 「けどさ、諸羽(モロハ)のことはどうするんだ?」
アルベルト「そうですね。代々からの恨みつらみがあるようですし」
リザ 「…………」
アルベルト「男として、けじめはつけるべきなんじゃないですか?」
リザ 「オレだって、会いには行ったんだよ? でも人間の寿命って本当にあっという間なんだもんなぁ(しみじみ)」
昇 「にいちゃん……(しんみり)」
アルベルト「その会いに行くまでの間に、あなたは何人の女性とお近づきになったんでしょうね」
昇 「にいちゃん……(ジト目)」
アルベルト「あなた、一体どれだけの子孫を増やせば気がすむんです」
昇 「どれだけって(赤面)」
リザ 「それ以上言うなよ。オレのイメージが崩れるだろ。爽やかおにーさんで通ってるんだから」
昇 「どこが爽やかおにーさんだ」
アルベルト「同感ですね」
リザ 「いずれ、けじめはつけさせてもらうさ。いずれ、な」
その4
昇 「リズさんとは兄弟なんだよな?」
リザ 「三人の娘――雛(ひな)の一人をとりあげたんだ。やたらと懐かれちゃってね。そのまま妹として引き取ることにしたわけ」
昇 「あれ? でも霧海(ムカイ)の住人だから相当長生きしてるんじゃ」
リザ 「生まれて間もない雛(ひな)だから、実際はシーナと同じ16歳(第十一章にて)だよ」
アルベルト「姉妹として考えるならば、カイ、リズ、シーナですね」
リザ 「シーナのことは悪かったと思うよ。介入しようとした矢先に向こうに先手を打たれたから」
アルベルト「カイにも同様のことが言えますね」
リザ 「オレは一介の旅人なの! オレ(神様)だってできることとできないことがあるんだよ!」
昇 「それで妹を可愛がりまくった挙句、シスコンに走ったと」
アルベルト「あなたと同じですね」
昇 「一緒にすんな!」
その5
昇 「今回は話の裏ばかりしゃべってたな」
アルベルト「話も終盤に近いことですし、無礼講といったところでしょう」
リザ 「そうそう」
昇 「けど神様ってことは、いろんなところに出まくってるってことだよな」
リザ 「出まくってるわけじゃないけど、どこかでつながりはあるかもね」
アルベルト「そういえばあなた、以前、神様や運命は嫌いだとか言ってませんでしたか?」
昇 「それは前の話。今はもういいんだ」
アルベルト「大人になりましたね」
昇 「だろ?」
リザ 「二人が大人になってくれてお兄ちゃんは嬉しいよ」
アルベルト「いつまでも子どもでいるわけにはいきませんから」
昇 「そうそう。ちゃんとあと一人を助け出さないとな」
リザ 「これでオレも安心して新しい出会いを――」
二人 『それとこれとは別』
おまけ
月臣 「オレもこの人の血縁者ってことになるのかな」
花月 「知らん」
瑠風 「本気でめちゃくちゃ遠いけどね。そうなるみたい」
月臣 「そっかー。じゃあオレ、偉いんだな」
鳥丸 「どこをどうとったらそうなるんです」
月臣 「だって神様の血縁者だろ? すごいじゃん」
瑠風 「正確には元・神様だし。本気で何代も前のことだし」
月臣 「じゃあオレの時代も近い! ってことだな」
花月 「勝手に話を作るな」
月臣 「でもなぁ。名前だけ決まって、ずっとおざなりになってるからな。今度こそ活躍しまくってやる」
瑠風 「……先が思いやられるわね」
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