拍手その16

もしかしたら予告編? その1


オレだってちゃんと考えて行動してるぞ? ただちょっとだけ方向が違うだけで。
は? オレがそんなわけないよ。
たださ。気になるんだ。あいつのこと。
わかってるよ。オレらしくないって。でも気になるもんは気になるんだからしょうがないだろ。
だーッ! 考えてもラチあかねえ!
頭使うのは他の奴ら。オレはひたすら行動あるのみ!

「家訓第三番! 悩むよりまず行動!」



もしかしたら予告編?その2 

本っ当にあの馬鹿どうにかしてほしいわ。
なんで右といって左に向かうのよ。まあ、あいつの音痴っぷりは前からだけどね。
でも今回はちょっとやばそう。女の勘じゃないけど、きな臭いにおいがぷんぷんする。
つく、ここは一旦――って、ああ! もういないし!
仕方ない。幼馴染の力、とくと見せてあげましょう。

「そっちは左。右じゃないの」



もしかしたら予告編? その3

一体なんなのだあいつは。
考えなしの体力馬鹿。まるで動物園のサルではないか。
それにしてもあんな場面を見られるとは。本当に不覚。一生の不覚だ。
……わかっている。わたしに与えられたものくらい。
だから。

「お願い。わたしを――」



もしかしたら予告編? その4

おかしい。
そもそも俺はこの一件とは全くの無関係のはずだ。
そうであるはずなのに、なんで俺はここにいる?
うるさいっ! 俺をその名前で呼ぶな!
そうか。あくまでそのつもりなら俺にも考えがある。今さら後悔しても知らないからな。

「巻き込むな! 俺は善良な一般市民なんだ!」



もしかしたら予告編? その5

もう舞台は終わりだと思ってたんだけどなあ。なんでこんなことになったんだろ。
いや、わかってる。わかっちゃいるんだ。
こいつをひきとった時点でこうなることはわかってたはずなんだ。ただちょっとあいつがあんなにもああなんて思ってなかっただけさ。
泣くな俺。泣いたらそこで終わりだ。
脱・斜め四十五度の下り坂。目指せ右上がり十三度の上り坂人生!  

「これでも師匠だから。やる時はやらせてもらうよ」